2015/04/10 |
2015年4月10日に、日本経済新聞が、Biomaterials Volume 52, June 2015, Pages 14–25に報告された論文In vivo selective imaging and inhibition of leukemia stem-like cells using the fluorescent carbocyanine derivative, DiOC5(3)を、以下に紹介しました。
三重大大学院医学系研究科の研究チームは、がんのもとになる「がん幹細胞」に取り付いて可視化する物質を見つけ、英科学誌電子版に発表した。発光する特性を持ち、がん幹細胞が集中する箇所が見えるようになるうえ、増殖抑制作用も認められ、効果的ながん治療法の開発が期待されるという。
がん幹細胞はがん細胞の中に存在し、再発や転移の主な原因とされる。極めて少数しか存在せず、発見が難しいうえ、抗がん剤も効きにくい。この物質は発光するだけでなく、がん幹細胞の増殖を抑え死滅に導く。
チームは透明化した小型熱帯魚ゼブラフィッシュに、がん幹細胞を移植。300以上の蛍光物質を投与したところ「DiOC5(3)」という物質が、幹細胞を可視化しやすいうえ、増殖抑制に最も効果的だった。今後、人間への副作用がないかどうかも調べ、臨床に応用していきたい考えだ。
チームの田中利男教授は「死滅の過程が見え、がん幹細胞の知られていないメカニズムが分かるかもしれない」と話している。〔共同〕