2013/06/19 |
白血病幹細胞移植ゼブラフィッシュを用いたin vivoスクリーニングシステム
Phenotype-based in vivo screening using zebrafish model of leukemia stem cell xenotransplantation
○張貝貝1)、島田康人1-5)、有吉美稚子1)、植田智希1)、梅本紀子1,3)、西村有平1-5)、田中利男1-5)
○Beibei Zhang1), Yasuhito Shimada1-5), Michiko Ariyoshi1), Tomoki Ueda1), Noriko Umemoto1,3), Yuhei Nishimura1-5), Toshio Tanaka1-5)
1)三重大・院・医・薬理ゲノミクス、2) 三重大・メディカルゼブラフィッシュ研セ、3) 三重大・院・医・システムズ薬理、4) 三重大・生命・バイオインフォ、5) 三重大・新産業創成・オミックス医
1) Dept. Pharmacol., Mie Univ. Grad. Sch. Med., 2) Mie Univ. Med. Zebrafish, 3) Dept. Systems Pharmacol., Mie Univ. Grad. Sch. Med., 4) Dept. Bioinfo. Mie Univ. Life Sci., 5) Dept. Omics, Mie Univ. Indust. Tech.Innov.
近年、白血病の再燃・再発の原因として、抗がん剤抵抗性の白血病幹細胞の関与が注目されている。白血病幹細胞を標的とした抗がん剤は理想的には長期予後を改善できると考えられているが、白血病細胞集団における極少量の白血病幹細胞を標的とした創薬スクリーニングは実施上の量的な制限が多く、実際にこれまで発見されたシーズ化合物は非常に少ない。また、体内微小環境にて初めて機能性を発揮する白血病幹細胞を、in vitroの系で解析・評価することに対して批判的な議論も多い。
我々はこれらの問題を解決するため、白血病幹細胞をゼブラフィッシュ稚魚に移植する実験系を提案している。ゼブラフィッシュ稚魚の体長は2mm程度であり、移植に必要な細胞数が少量で済むため、サンプル量の少ない白血病幹細胞でも十分使用可能である。また96ウェルプレートに入るため、イメージングや遺伝子発現解析などのハイスループット化が可能である。実際にはまず、Kusabira-orange恒常発現慢性骨髄性白血病細胞株(K562-KOr)からアルデヒドデヒドロゲナーゼ陽性(ALDH+)細胞を抽出し、表面抗原等から白血病幹細胞を確認した。次にこの白血病幹細胞をゼブラフィッシュに移植し、その24時間後に試験化合物を投与、ハイコンテントイメージャーを用いて継時的に腫瘍サイズ・遠隔転移を解析した。その結果、6化合物、(パルテノライド、TDZD-8、三酸化ヒ素、ニクロサミド、サリノマイシン、チオリダジン)では、ALDH+細胞の増殖および転移を選択的に抑制していた。
本研究では白血病幹細胞移植ゼブラフィッシュを用いて、腫瘍サイズ・転移のphenotype-basedなin vivoスクリーニングシステムの開発に成功した。現在、本技術を用いて新たな抗白血病幹細胞作用をもつシーズ化合物の探索研究を行っている。