2013/06/21 |
摂食制御遺伝子/化合物のin vivoハイスループットスクリーニング
A High-Throughput Fluorescence-Based Screening for Appetite-Regulating Genes and Drugs.
○島田康人1-5)、張貝貝1)、有吉美稚子1)、梅本紀子1,3)、西村有平1-5)、田中利男1-5)
○Yasuhito Shimada1-5), Beibei Zhang1), Michiko Ariyoshi1), Noriko Umemoto1,3), Yuhei Nishimura1-5), Toshio Tanaka1-5)
1)三重大・院・医・薬理ゲノミクス、2) 三重大・メディカルゼブラフィッシュ研セ、3) 三重大・院・医・システムズ薬理、4) 三重大・生命・バイオインフォ、5) 三重大・新産業創成・オミックス医
1) Dept. Pharmacol., Mie Univ. Grad. Sch. Med., 2) Mie Univ. Med. Zebrafish, 3) Dept. Systems Pharmacol., Mie Univ. Grad. Sch. Med., 4) Dept. Bioinfo. Mie Univ. Life Sci., 5) Dept. Omics, Mie Univ. Indust. Tech.Innov.
肥満者、メタボリックシンドローム患者の増加は、世界的な申告な問題となりつつある。しかし、食欲抑制剤や腸管における脂質消化・吸収阻害剤などの肥満治療薬の種類は非常に少なく、有効な治療法の確立が急務とされている。本研究では、肥満発症のもっとも重要な因子である食欲に注目し、ゼブラフィッシュを用いて、簡便かつ迅速な摂食量測定技術を開発した。本技術は受精後5-10日目のゼブラフィッシュに対し、蛍光染色した生きたゾウリムシ(パラメシア)を摂食させ、腸管内の蛍光強度をマイクロウェルプレートリーダーで測定することで摂食量を解析した。また、ゼブラフィッシュと人間の食欲制御のメカニズムの類似性を証明するため本技術を基盤に以下の3つの実験を行った。
1. 摂食時の食欲制御遺伝子、bdnfの発現変化パターン解析
2. 食欲制御遺伝子(npy, ins, mc4r, agrp, cnr1)の発現抑制による摂食量への影響評価
3. 既存の食欲抑制薬(fluoxetine, sibutramine, mazindol, phentermine, rimonabant)の投与実験および下流の遺伝子発現解析
これらの実験の結果、ヒトとゼブラフィッシュでは食欲調整のメカニズムが遺伝子発現レベルで高度に保存されており、医薬品への反応性も一致していることが明らかとなった。また、1-3の実験と同時に自発運動などの行動解析を行うことにより遺伝子発現抑制や化合物試験時の運動機能への影響を評価でき、試験化合物の食欲への影響のみならず副作用評価への展開も期待できた。
以上、96ウェルプレート内で1試験2時間以内で実施でき、これまでの齧歯類動物ではほぼ不可能であった動物個体を用いた(in vivo)食欲に対するハイスループットスクリーニングシステムを構築したので報告する。