2013/07/12 |
食餌性肥満ゼブラフィッシュを用いた脂肪肝治療薬探索のシステムズ薬理学研究
島田康人1-5、平光正典1,6、片桐孝夫6、張貝貝1、黒柳淳哉1、有吉美稚子1、梅本紀子1,2、西村有平1-5、田中利男1-5
1三重大・院・医・薬理ゲノミクス、2三重大・院・医・システムズ薬理、3メディカルゼブラ研セ、4三重大・生命・バイオインフォ、5三重大・新産業創生・オミックス医、6ポッカサッポロフード&ビバレッジ?・中研
ゼブラフィッシュは多産かつ飼育が比較的容易であり、多検体の動物を用いた定量的システムズ薬理学的解析に適している。これまで私たちは新規ヒト疾患モデルとして食餌性肥満ゼブラフィッシュを新たに構築し、その表現型、治療応答性、そして網羅的遺伝子発現解析による病態メカニズムのヒトとの外挿性を証明してきた(Oka et al., 2010)。約1か月の過剰給餌により体重が2倍以上に増加、脂質異常症、脂肪肝、耐糖能低下、内臓脂肪蓄積(CT解析)など、ヒトのメタボリックシンドロームに準じた症状を発症する。これらの血液生化学異常所見はヒト治療薬であるピオグリタゾンやスタチンで改善し、また食事制限や運動負荷により肥満体型(BMI)は著しく改善した。私たちはこのモデル動物を用いたin vivoスクリーニングを行い、その結果、複数の天然資源由来成分や新規肥満制御遺伝子を発見した。またその一部についてはDNAマイクロアレイなどによるトランスクリプトーム解析によりその抗肥満作用メカニズムを明らかにしてきた(Tainaka et al., 2011 & Hasumura et al., 2012)。今回の報告ではこれらの成果を踏まえつつ、現段階では有効な治療薬の見つかっていない脂肪肝を改善する化合物群に注目し、この作用メカニズムをin vivoとin vitroの両面から解析したので報告する。