2013/12/05 |
第36回日本分子生物学会年会(2013年12月5日、神戸国際会議場)にて下記の演題を発表する予定です。
新規ゼブラフィッシュ行動解析を用いたニコチン代替療法の発達神経毒性評価
村上宗一郎1、西村有平1,2,3,4,5、芦川芳史1、梅本紀子1,2、川端美湖1、笹川翔太1、張貝貝1、島田康人1,2,3,4,5、田中利男1,2,3,4,5
1三重大・院・医・薬理ゲノミクス
2三重大・システムズ薬理学
3三重大・メディカルゼブラフィッシュ研究セ
4三重大・新産業創成研究拠・オミックス医学研
5三重大・生命科学研究支援セ・バイオインフォ
妊婦の喫煙は、胎児の発達だけでなく、出産後の子供の発育にも様々な悪影響を及ぼすことが明らかにされている。特に、注意欠陥多動性障害(ADHD)や、学習障害、不安障害などの精神神経疾患の発症と密接に関連することが報告されている。例えばSchmitzらは、妊婦の喫煙によりアメリカにおけるADHD児が27万人以上増加したと試算している。世界における妊娠可能年齢女性の約3割が喫煙しているが、この喫煙率を低下させることは重要な社会的意義を有している。現在、禁煙補助薬として、ニコチンガムやニコチン貼付剤や、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する部分作動薬などがアメリカ食品医薬品局により認可されている。一方、これらのニコチン代替療法により、胎児の奇形や、新生児の発達障害が増加したという報告もあるが、その詳細に関しては不明な点が多く残されている。本研究では、ゼブラフィッシュの行動解析を用いて、ニコチン代替療法の発達神経毒性を評価した。具体的には、受精後8時間より96時間まで、ニコチンまたはニコチン受容体部分作動薬を様々な濃度でゼブラフィッシュに曝露した。受精後7日目に外表奇形を認めない最高濃度を決定し、その濃度から3倍希釈系列で曝露したゼブラフィッシュの行動を、光の明暗変化や、てんかん誘発薬曝露に対する運動量の変化を指標として定量的に解析した。その結果、ニコチン代替療法の発達神経毒性を簡便に評価することに成功したので報告する。