2017/05/27 |
第2回日本臨床薬理学会東海・北陸地方会
17:00〜17:30
特別講演
三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学
田中利男教授
現在なお新規治療薬開発における、臨床試験第二相の成功率はわずか18%であり、この危機的状況に対して2011年米国NIHが、困難を克服する戦略として定量的システムズ薬理学(Quantitative and Systems Pharmacology)白書を、報告しました。定量的システムズ薬理学は、薬理学、ゲノム医学、情報科学を融合し、薬理学とシステムズ生物学を統合した新しい臨床薬理学研究開発戦略であります。従来のリバース薬理学がその役割を果たしていないこと及び最近の画期的新薬開発は依然としてフェノタイプスクリーニングにより実現していることやフォワード薬理学の重要性が明白となり、このシステムズ薬理学を実現する研究開発戦略としてゼブラフィッシュ創薬が、国際的に注目されるようになりました。実際いくつかのFirst-in-Class創薬が成功しており、その創薬戦略はオミクスを基盤とするハイスループット in vivo フェノタイプスクリーニングによるフェノミクス創薬でありますフォームの終わり
。さらに、臨床がん検体移植ゼブラフィッシュによる個別化医療は、各患者がん検体のフェノミクス解析結果を、その患者の治療薬選択や投与用量決定に活用する真の次世代個別化医療であり、大きなパラダイムシフトが実現しつつあります。これら一連のオミクスから臨床開発を推進するシステムズ臨床薬理学の現状とグローバル展開について、ご報告いたします。