2024/10/15 |
ゼブラフィッシュ創薬は、2000年ごろから世界で同時に発展し、2014年には Zebrafish Disease Model Society、 2015年にはゼブラフィッシュ創薬研究会が組織され、今後さらなるゼブラフィッシュ創薬技術開発は、この21世紀に継続的にグローバル展開されていくと思われる。ゼブラフィッシュ創薬は、in vivo ハイスループットスクリーニングが可能な唯一の脊椎動物モデルであり、 創薬モデル生物の第三極を形成し、動物愛護との調和性、スループットやコストなどにおいてまったく新しい創薬パラダイムを実現していることが最大の特徴である。一方、いわゆるゲノム創薬戦略は、分子還元主義の課題を克服するには至っていないため、生体レベル (in vivo)でのターゲットバリデーションが不可欠となり、in vivoスクリーニングが不可欠の創薬プロセスとなる。
欧米では早くからゼブラフィッシュが活用されており、ヒト疾患モデルに焦点を当て、2014年には Zebrafish Disease Model Society(ZDMS)が組織され、学会活動などを継続的に発展している。一方、翌年の2015年に、わが国ではヒト疾患モデルに加え、スクリーニングシステムや創薬研究の広範な演題と、産学官からの多様な177名の参加者により、第1回 ゼブラフィッシュ創薬研究会(Zebrafish Based Drug Discovery, ZDD2015)が、三重大学において開催された。その後も第4回からゼブラフィッシュ・メダカ創薬研究会へ発展的に改称し、毎年、全国各地で研究会が開催され、本年の第10回は酪農学園大学で、来年の第11回は浜松での開催が予定されている。
さらに、国際的ゼブラフィッシュ創薬支援 CRO(医薬品開発業務受託機関)も多数創業され、確実に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。 欧米のメガファーマ社内やゼブラフィッシュ創薬ベンチャー において、実質的なゼブラフィッシュ創薬開発が、大規模に深いレベルで成し遂げられている。具体的ゼブラフィッシュ創薬開発の成功事例は、多くの場合、アカデミアとゼブラフィッシュ創薬ベンチャーによる産学官連携の果実であり、グローバルな展開が明確になっている。
さらに、世界中で多数のアカデミアでのゼブラフィッシュ創薬研究が展開され、ゼブラフィッシュ創薬ベンチャーが創業している。さらに国際的メガファーマが、 薬効・安全性研究でゼブラフィッシュを積極的に活用している。本講演ではゼブラフィッシュin vivoフェノタイプスクリーニングが新薬開発に著効した多数の成功例を紹介する。すなわちゼブラフィッシュ創薬フェノタイプスクリーニングにより、すでに多数の医薬品が臨床開発へ進展している成功例が報告され、これらは大きく2つに分類できる。それは、(1)新規化合物による新しい適応症開発と (2)既存分子標的薬の新しい適応症開発などである。
また、現時点における先端がんプレシジョンメディシンの主な基盤は患者のオミクス情報であり、薬物治療応答性を予測しようとするものである。一方、臨床がん移植ゼブラフィッシュによる個別化医療は、各患者がん検体のフェノミクス解析結果をその患者の治療薬選択にリアルタイムで