MZT(株)ゼブラフィッシュ創薬研究所

  • HOME
  • 研究開発
  • メンバー
  • アルバム
  • リンク
  • 研究員募集
  • アクセス
  • HOME
  • >
  • TOPICS
  • >
  • 詳細

最近の記事

2025/11/25
がん遺伝子パネル検査とPDXZの比較
2025/11/25
Cell Signaling and Phenomics Drug Discovery
2025/11/25
Transcriptomics and Phenomics Drug Discovery
2025/11/12
2026年はプレシジョン患者がん移植ゼブラフィッシュシステム(PDXZ)臨床実装元年
2025/10/22
AI プレシジョン患者がん移植ゼブラフィッシュシステムのプロトコル開発
2025/10/16
AIDXプレシジョン患者がん移植システムによるゼブラフィッシュ創薬と個別化医療
2025/10/07
AIプレシジョン患者がん移植ゼブラフィッシュシステムの急展開
2025/10/02
臨床治療応答予測のためのin vitro診断ツール:PDXZ
2025/06/23
患者がん移植ゼブラフィッシュモデル(PDXZ)の臨床応用
2025/06/11
ゼブラフィッシュ創薬の急激なグローバル発展

一覧に戻る

2025/11/25
  • CiteULike
  • reddit
  • StumbleUpon
  • linkedin
  • Delicious
  • Mendeley
  • はてなブックマーク
  • Youtube
  • Google+
  • Twitter
  • Facebook

がん遺伝子パネル検査とPDXZの比較

日本における「がんゲノム医療」の中核をなす**がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)**について、現在保険適用されている主な検査の種類、それぞれの特徴、費用、そして課題について、専門的な内容をわかりやすく整理して解説します。

1.がんゲノム検査(遺伝子パネル検査)の概要
がんゲノム検査とは、がん細胞の組織や血液を使って、一度に数十〜数百個の遺伝子変異を調べ、その患者さんのがんの特徴に合った治療薬(分子標的薬など)がないかを探す検査です。

日本では現在、主に以下の2つのカテゴリーで保険適用されています。
1.組織検査(Tissue): 手術や生検で採取したがん組織を用いる(基本はこちら)。
2.リキッドバイオプシー(Liquid): 血液を用いる(組織が採れない場合など)。

2. 日本で保険適用されている主要な検査リスト
現在、日本で保険診療として実施可能な主な検査は以下の通りです。

? 組織を用いる検査(Tissue-based)
検査名 開発/販売 解析遺伝子数 特徴・強み

FoundationOne® CDx
(ファウンデーションワン CDx)中外製薬ロシュ 324遺伝子 【世界標準・実績No.1】

米国FDA承認。膨大なデータベースを持ち、多くの薬剤の「コンパニオン診断(適応判定)」を兼ねているため、結果が出ればすぐに薬を使える可能性が高い。

OncoGuide™ NCCオンコパネル シスメックス
国立がん研究センター124遺伝子【日本発・生殖細胞系列も解析】

患者さんの「がん細胞」と「正常細胞(血液)」を比較解析する。
これにより、生まれつきの遺伝性腫瘍(遺伝性のがん)の判定精度が高い。

GenMineTOP
(ジェンマイントップ) コニカミノルタ
東京大学 737遺伝子 【最新・DNAとRNAを同時解析】

遺伝子数が最も多く、DNAだけでなくRNAも解析するため、融合遺伝子(特定の薬剤が効く変異)の検出感度が高い。メチル化解析も可能。

? 血液を用いる検査(Liquid biopsy)
検査名 開発/販売 解析遺伝子数 特徴・強み

FoundationOne® Liquid CDx 中外製薬 324遺伝子 【組織が採れない時の選択肢】

組織版と同じ遺伝子数を解析。組織採取が身体的に負担な場合や、過去の検体が古い場合に用いられる。
Guardant360® CDx


(ガーダント360) ガ?ダントヘルス 74遺伝子【結果返却が早い】

解析遺伝子数を主要なものに絞っているため、結果が出るまでの期間(ターンアラウンドタイム)が比較的短い。

Shutterstock

3. 各検査の詳細な特徴と長所・短所

A. FoundationOne CDx(組織)
•長所: 多くの分子標的薬の添付文書に記載された「コンパニオン診断薬」としての機能を持つため、変異が見つかれば追加検査なしで保険適用の薬を使える。マイクロサテライト不安定性(MSI)や腫瘍遺伝子変異量(TMB)の評価も確立されている。

•短所: 正常細胞との比較を行わないため、見つかった変異が「がん特有のもの」か「生まれつきのもの」かの区別に専門的な解釈が必要になる場合がある。

B. OncoGuide NCCオンコパネル(組織)
•長所: 正常細胞(採血)も同時に調べる「ペア解析」を行うため、ノイズを除去した高精度な解析が可能。また、遺伝性腫瘍(リンチ症候群や遺伝性乳がん卵巣がん症候群など)の可能性をより正確に拾い上げることができる。

•短所: コンパニオン診断機能を持たない薬剤がある場合、薬剤使用のために別途単一遺伝子検査が必要になるケースが稀にある(現在は改善されつつある)。

C. GenMineTOP(組織)
•長所: 遺伝子数が圧倒的に多い。特にRNA解析を併用するため、肺がんなどで重要な「融合遺伝子」の見落としが少ない。

•短所: 比較的新しい検査であり、導入している病院が上記2つに比べてまだ限定的である場合がある。

D. リキッドバイオプシー(FoundationOne Liquid / Guardant360)
•長所: 採血だけで済むため、体への負担が少ない。骨転移などで組織が採りにくい場合でも実施可能。

•短所: 腫瘍が小さい、あるいは全身に散らばっていない場合、血中に漏れ出るDNA量が少なく、**「偽陰性(変異があるのに出ない)」**のリスクが組織検査より高い。


関連リンク

  • 三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学
  • 三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター

関連ファイル

  • がん遺伝子パネル検査とPDXZの比較