MZT(株)ゼブラフィッシュ創薬研究所

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次世代シーケンサーと癌移植ゼブラフィッシュを用いた遠隔転移の薬理ゲノミクス研究

演者名 ○島田康人1-4)、黒柳淳哉1)、張貝貝1)、西村有平1-4)、田中利男1-4)
所 属 1) 三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス分野、2)生命科学研究支援センターバイオインフォマティクス部門、3) メディカルゼブラフィッシュ研究センター、4) 新産業創成研究拠点オミックス医学研究室


癌細胞特異的分子を標的とした分子標的治療薬型抗癌剤開発において、新規標的分子を発見・検証する過程は非常に重要である。しかし、これまでの培養細胞とマウスなどの哺乳類動物を組み合わせた研究方法では、時間・労力・コストの面で問題があった。本研究は、癌移植ゼブラフィッシュを用いてこの「新規標的分子の探索」に利用可能なin vivo治療標的分子探索システムを構築することを目的としている。ゼブラフィッシュは魚類であるが、全ゲノム配列ではヒトと80%の相同性があり遺伝子数もヒトとほぼ同じである。主要臓器・組織の発生・構造もヒトと良く似ており、透明な体幹を利用したin vivoイメージングや遺伝子組換え・突然変異によるヒト疾患モデルも多数報告されている。
 我々は癌移植ゼブラフィッシュとヒトとのトランスクリプトームレベルでの外挿性を、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子発現解析で解明した。これまでに開発した技術(国際特許公開WO2009069819)を用いて、ヒト膵臓癌細胞(KLM-1)をゼブラフィッシュに移植し、遠隔転移を起こさなかった群、起こしたが遠隔転移巣が移植した卵黄内にとどまっている群、それ以上の遠隔転移を起こした群の3群のサンプリングを行った。その後、次世代シーケンサーSOLiD4システム(Applied Biosystems社製)によるRNA-seq解析を行い、得られた発現データをゼブラフィッシュ(Zv6)とヒトのゲノム配列(Hg19)にmappingした。発現変化を認めた遺伝子群について、文献データを基盤にしたネットワーク解析を行った結果、Hypoxia-inducible factor 1 alphaおよびTransforming growth factor-betaを中心としたパスウェイなど、低酸素に応答するシグナルの活性化が認められた。実際に本移植モデルを低酸素環境負荷すると、遠隔転移の発症頻度が増加した。
 以上の成果より、癌移植ゼブラフィッシュは、新規創薬ターゲット分子を探索する新たなモデル動物として確立できたので報告する。