2011/09/21 |
発表形式 ポスター
次世代シーケンサーを用いたゼブラフィッシュ老化モデルの網羅的遺伝子発現解析
Whole Transcriptome Analysis of Aging Model of Zebrafish using Next Generation Sequencer
○谷嶋茂樹1, 5)、島田康人1-4)、黒柳淳哉1)、門馬康之1)、西村有平1-4)、田中利男1-4)
第84回日本生化学会大会
所属
1) 三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス分野
2) 三重大学生命科学研究支援センターバイオインフォマティクス部門
3) 三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター
4) 三重大学新産業創成研究拠点オミックス医学研究室
5) 三菱スペース・ソフトウエア株式会社
要旨
老化および老化関連疾患のメカニズム解明のため、マウスやラットなどのほ乳類動物、ショウジョウバエ・線虫などの無脊椎動物が実験に使用されている。我々はこのほ乳類動物と無脊椎動物の中間にある疾患モデル動物として、小型魚類ゼブラフィッシュを活用している。ゼブラフィッシュは1970年代より発生生物学モデルとして研究が始まり、その臓器発生・組織構造がヒトと類似していることが知られている。また2005年のゲノムシーケンスプロジェクトの結果より、ヒトに対するゲノムシンテニーの高度保存からゲノミクス分野におけるモデル動物としても注目され、様々なヒト疾患モデルが報告されている。
実験水槽で飼育されているゼブラフィッシュ(AB系統)のライフスパンは、受精後4ヶ月目より交配可能ないわゆる青年期に入り、6ヶ月頃より交配時期が終了しはじめる。8ヶ月頃より体幹・脊椎の湾曲が始まり、表面色素の劣化、全般的行動量の低下、エサなどの食行動低下等が認められる。そして18ヶ月までに約70%が死亡する。我々は、ゼブラフィッシュの老化の表現型を経時観察し、1〜9ヶ月齢におけるゼブラフィッシュ全身の遺伝子発現を次世代シーケンサー(SOLiD4, Applied Biosystems社製)を用いて網羅的に解析した。発現変化を認めたゼブラフィッシュ遺伝子をヒト遺伝子(オルソログ)に変換、文献データを基盤にしたネットワーク・パスウェイ解析を行った。その結果、すでに哺乳類等で報告されているDNA合成系などの老化関連パスウェイとの外挿性が認められた。これらの研究成果を基礎に、新しい老化モデル動物としてのゼブラフィッシュの可能性について検討したので報告する。