2011/03/05 |
第20回生殖・発生毒性学東京セミナー案内
日時:2011年3月5日(土)13時30分〜17時(受付13時〜13時30分)
会場:独立行政法人 国立オリンピック記念青少年総合センター
センター棟4階、402室
〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町3-1
TEL:03-3467-7201、URL:http://nyc.niye.go.jp/
最寄駅:小田急線参宮橋駅7分、地下鉄千代田線代々木公園駅10分
会費:1,500円、学生無料
懇親会:3,500円、カルチャー棟2階「レストラン とき」17時10分〜
セミナー担当委員:高井 了 (中外製薬(株))
鷹野 正生 ((株)ボゾリサーチセンター)
プログラム(順未定):
1.「サリドマイドからダイオキシンまで:化学物質の発生毒性を追って」 安田 峯生 先生 (広島大学名誉教授) 2.「ゼブラフィッシュを用いた生殖発生毒性評価」 田中 利男 先生 (三重大学大学院) 3.「化審法テストガイドラインの主な変更点とその背景」 山本 雅也 先生 (国立医薬品食品衛生研究所)
問合せ先:生殖・発生毒性学東京セミナー事務局
日本バイオアッセイ研究センター
試験管理部 生殖発生試験プロジェクト
奥田 裕計
〒257-0015 神奈川県秦野市平沢2445
TEL:0463-82-3911、FAX:0463-82-3860
E-mail:h-okuda@jisha.or.jp
ノーネクタイのカジュアルな服装でご参加ください。
ゼブラフィッシュを用いた安全性・発生毒性オミックス研究
○Zebrafish as a model for omics research in safety pharmacology and development toxicology
田中利男、西村有平、島田康人、梅本紀子、黒柳淳哉、今鉄男
三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス、
三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター
○ Toshio TANAKA, Yuhei NISHIMURA, Yasuhito SHIMADA, Noriko UMEMOTO, Junya KUROYANAGI, Tetsuo KON
○ Pharmacogenomics, Mie U. Graduate School of Medicine, Mie U. MZRC
ゼブラフィッシュは、発生生物学の本格的モデル生物としては30年以上の長い歴史があり、有用性が確立され、その研究成果として脊椎動物における臓器形成の共通オミックス機構が明らかにされている。そこで最近約10年間においてゼブラフィッシュの活用はヒト疾患モデル等の病態医学研究(1)や安全性薬理学へ急激に展開されている。すなわち創薬開発早期の安全性薬理試験や発生毒性学において、ハイコンテントin vivoイメージング解析(2)の精度とマルチウエルハイスループット性を同時に実現する唯一のモデル動物としてゼブラフィッシュは独自の地位を占めつつある(3)。具体的にはヒトゲノムとの相同性の高さ、遺伝子操作の容易性、多産性、臓器形成の早さ、身体の透明性、ダウンサイジングなどゼブラフィッシュの圧倒的優越性により、創薬リード化合物決定前の早期安全性薬理試験に広く応用されている。ゼブラフィシュは、安全性スクリーニングにおいて最大のボトルネックになっているin vivoスクリーニングのスループットを革命的に向上させるだけではなく、ハイコンテントなフェノタイプアッセイと精密なオミックス解析を実現する。具体的なゼブラフィッシュによる安全性薬理試験や発生毒性学解析として、1)QT延長薬等の循環器系試験、2)数多くの中枢神経系評価(運動、痙攣、認知、依存、視覚、聴覚等)、3)消化管系評価、4)腎機能、5)骨密度などが、報告されているが、我々の安全性薬理試験や発生毒性学の事例を中心に報告する。さらに、これらの安全性薬理学や発生毒性学の基盤を拡充するために、新しい試みを紹介する。すなわちハイコンテントin vivoイメージングを、成魚まで可能にするため、数多くのトランスジェニック新規色素欠損系統(miekomachi 001-009)を構築し、非侵襲的in vivo細胞イメージングを実現する蛍光色素を独自に開発することにより、各臓器における特定細胞障害のライブイメージング技術を、確立している(2)。これらの基盤は、21世紀の安全性薬理学や発生毒性学におけるパラダイムシフトを起こすに充分な技術革新であるが、実は、ゼブラフィッシュの本質的な優越性はむしろ安全性薬理学や発生毒性学におけるオミックス機構解析に存在する。すなわち、医薬品による細胞障害解析をin vivoでハイスループットに実現するだけではなく、ゲノムワイドな包括的遺伝子発現解析からの複数候補遺伝子を迅速にin vivoで定量的にノックダウンしたり過剰発現することが容易に実現する。ゼブラフィッシュは従来のフォワード安全性・発生毒性学だけではなくオミックスを基盤とするリバース安全性・発生毒性学を可能にする統合的ハイコンテントin vivoスクリーニングシステムを構築する。これら次世代の安全性・発生毒性オミックス研究の可能性について報告する(4)。
1) Diet-induced obesity in zebrafish shares common pathophysiological pathways with mammalian obesity. Takehiko Oka, Yuhei Nishimura, Liqing Zang, Minoru Hirano, Yasuhito Shimada, Zhipeng Wang, Noriko Umemoto, Junya Kuroyanagi, Norihiro Nishimura and Toshio Tanaka.


BMC Physiology 2010, 10:21 


2) In vivo imaging of zebrafish retinal cells using fluorescent coumarin derivatives
Kohei Watanabe , Yuhei Nishimura , Takehiko Oka , Tsuyoshi Nomoto , Tetsuo Kon , Taichi Shintou , Minoru Hirano , Yasuhito Shimada , Noriko Umemoto , Junya Kuroyanagi , Zhipeng Wang , Zi Zhang , Norihiro Nishimura , Takeshi Miyazaki , Takeshi Imamura and Toshio Tanaka. 
BMC Neuroscience 2010, 11:116
3) Zebrafish beta-adorenergic receptor mRNA expression and control of pigmentation. Wang Z, Nishimura Y, Shimada Y, Umemoto N, Hirano M, Zang L, Oka T, Sakamoto C, Kuroyanagi J and Tanaka T
Gene. 446:18-27 2009
4) Pharmacogenomics of cardiovascular pharmacology: pharmacogenomic network of cardiovascular disease models. Tanaka T, Oka T, Shimada Y, Umemoto N, Kuroyanagi J, Sakamoto C, Zang L, Wang Z, Nishimura Y
J Pharmacol Sci. 2008 May;107(1):8-14.