2011/09/23 |
新規in vivo網膜可視化色素を用いた網膜疾患関連遺伝子の同定と機能解析
Identification and characterization of genes associated with retinal disease using novel fluorescent dyes for in vivo imaging of retina
○岸誠也1、西村有平1,2,3,4、今鉄男1、梅本紀子1、張孜1、伊藤早紀1、岡森加奈1、張貝貝1、黒柳淳哉1、島田康人1,2,3,4、田中利男1,2,3,4
1)三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス、2)三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター、3) 三重大学生命科学研究支援センター バイオインフォマティクス、
4)三重大学新産業創成研究拠点 オミックス医学研究室
1)Department of Molecular and Cellular Pharmacology, Pharmacogenomics and Pharmacoinformatics, Mie University Graduate School of Medicine, 2)Mie University Medical Zebrafish Research Center, 3)Department of Bioinformatics, Mie University Life Science Research Center, 4)Department of Omics Medicine, Mie University Industrial Technology Innovation Institute
加齢黄斑変性や網膜色素変性症などの網膜変性疾患は、先進国における罹患率が20人に1人であり、大きな社会的問題となっている。これらの疾患は遺伝的要因が大きいことが知られており、様々な研究手法を用いて疾患関連遺伝子の探索が進められている。我々は小型脊椎動物であるゼブラフィッシュを用いた網膜疾患関連遺伝子スクリーニング系を構築した。ゼブラフィッシュの網膜は、構造的にも機能的にもヒトと類似性が高く、網膜の発生やヒト網膜疾患研究に頻用されてきた。従来、ゼブラフィッシュ網膜のイメージング方法としては、網膜切片を用いた免疫染色法や、トランスジェニッックゼブラフィッシュを用いたライブイメージングが行われてきた。これらの網膜可視化手法の有用性は多くの研究により実証されている。しかし、免疫染色は時間と労力がかかり、トランスジェニックゼブラフィッシュを用いたライブイメージングは蛍光蛋白質を発現している細胞しか可視化できない。我々は、ゼブラフィッシュ網膜細胞全体を短時間で染色することができ、共焦点レーザー顕微鏡を用いた網膜のライブイメージングを可能にする蛍光色素のスクリーニングを行った。その結果、ゼブラフィッシュ網膜細胞のライブイメージングに適した蛍光色素を見出した。また、ゼブラフィッシュではモルフォリノアンチセンスオリゴ核酸を用いて目的の遺伝子のノックダウンを行うことが可能である。我々が見出した新規網膜可視化色素とモルフォリノを組み合わせることにより、網膜疾患関連遺伝子の逆遺伝学的スクリーニングを高速かつ簡便に行うことが可能となった。我々はこのスクリーニング系を用いて、新規網膜疾患関連遺伝子を同定することに成功した。さらに、トランスクリプトーム解析を用いた機能解析を行ったので報告する。